医療法人社団 威風会 栗山中央病院

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整形外科で疑問に思ったら・・・

整形外科への疑問にお答えします!

膝関節の主な病気について

Q1 変形性膝関節症とは?

長い年月をかけて軟骨がすり減ってしまい、その結果痛みや炎症をおこした状態です。軟骨がすり減ると衝撃を吸収する力が弱まり、すり減った部分の骨により多くの負担が集中します。進行すると、骨同士がこすれあって表面がデコボコになったり、くぼみができたり、骨棘(こつきょく;骨が増殖してとげ状になること)ができます。そしてさらに痛みが増します。また、関節包の内側にある滑膜が厚くなって異常な関節液が分泌されて、いわゆる「膝に水がたまる」状態になり、腫れや痛みが増強したり動きが悪くなることもあります。変形性膝関節症
加齢、膝に負担のかかる運動や仕事、太りすぎ、下肢の筋力低下、内反膝(O脚)や外反膝(X脚)などの膝の変形などは、関節により多くの負担がかかり、進行が早まることがあります。

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Q2 関節リウマチとは?

関節リウマチは関節に炎症(関節炎)がおこり、腫れて痛む病気です。男女比1対4の割合で女性に多い疾患です。30~50歳前後の発症がもっとも多く、若者から高齢者全般におよびます。原因はまだ明らかにされていませんが、自己免疫疾患のひとつと考えられています。関節をおおっている関節包の内側にある滑膜が炎症をおこして増殖し、骨や軟骨が徐々に破壊されていきます。関節炎は手足の指の関節に痛みや腫れをともない、やがて肘や膝、肩、股関節などの関節に広がっていきます。膝関節に炎症がおきると、膝が腫れてこわばる感じがします。徐々に炎症が軟骨に広がって軟骨が薄くなり、骨同士がこすれあうにつれて痛みを感じるようになります。さらに症状が進むと、ひどい場合には大腿骨と脛骨がつぶれて一体となり、膝関節がまったく動かなくなることもあります。治療としては、抗リウマチ薬やステロイド剤、痛み止めの薬などの薬物療法や、リハビリテーションなどの運動療法をおこないます。近年では生物製剤も使用されています。関節の破壊が進行すると人工膝関節全置換術などの手術療法の適応となります。
 関節リウマチ

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Q3 人工膝関節置換術とは?

関節のいたんでいる部分を取りのぞき、人工の関節に置き換える手術です。関節の痛みの原因となるものをすべて取りのぞくので、他の治療法と比べると「痛みを取る」効果が大きいのが特徴です。現在使用されている人工関節の耐久性は、患者さんの状態にもよりますが約15~20年といわれています。長い人生の中では、再度手術をして人工関節を入れかえる必要が出てきます。そのため、これまでは60歳以上の比較的高齢のかたに対しておこなう手術とされてきました。しかし、最近では患者さんの価値観やQOL(Quality Of Life=生活の質)が尊重されるようになり、50歳代でも、より快適な生活をおくるための一手段として人工関節を選ばれるかたもいます。
いずれにしても、最終的に治療法を決めるのは患者さん自身です。緊急の場合をのぞいては、手術の時期を選ぶことができますので、時間をかけて家族や医師とよく相談して決めて下さい。

適応

個人差はありますが、一般的に人工関節置換術の適応となるのは次のような場合です。

  • 痛みがひどく、仕事や行楽、さらには日常生活の通常の動作も制限される。
  • 安静や薬物療法、理学療法などの保存的な治療法では改善されない。
  • 関節が著しく固く、動かせる範囲がせまい。
  • エックス線検査で、関節炎の進行やその他の病気がみられる。

効果

人工膝関節

人工関節置換術には主に次のような効果があります。

  • 痛みを取りのぞくこと。(または大きくやわらぐこと)
  • 変性や痛みのために制限されていた関節の活動性をとり戻すこと。
  • 他の関節への負担を軽くすること。
  • 活動範囲が広がることで、下肢の筋力がついてくること。

以上より日常生活動作が改善されます。

人工膝関節

金属製で大腿骨側と脛骨側のコンポーネント、そして、その間に入るプラスティック製(超高分子ポリエチレン)のインサートで構成されます。必要に応じて膝蓋骨のコンポーネントも置換します。固定には骨セメントを用います。
人工関節にはさまざまな種類がありますが、患者さんの骨の状態や生活習慣などにあわせて機種や大きさなどを選びます。耐久性は約15~20年といわれていますが、必要に応じて、再度入れかえることができます。
術前 術後

手術に伴う諸問題

手術には、下記の諸問題が起こる場合があります。

  • 麻酔に伴うこと、輸血による問題
  • 周辺の神経、血管、組織の損傷
  • 術後肺炎、腸炎
  • 骨セメントによる血圧低下、ショック状態、肺塞栓症の危険性
    ~副作用として、まれに死亡に至る重篤な症状が発現することがあります。
  • 周辺の神経、血管、組織の損傷
  • 深部静脈血栓症 /肺動脈塞栓症
    ~深部静脈血栓症は長時間足を動かさないでいると発症し、下肢の静脈に血の塊(血栓)ができて血流が悪くなり、むくんだりふくらはぎが痛んだりします。この血栓が肺の血管をふさいでしまうのが肺塞栓症で、呼吸困難や胸痛を感じ、重篤な症状を引き起こす可能性があります。予防のために、手術中に下肢をマッサージする装置を装着したり、術後安静の間、弾性ストッキングを着用したり、足首の曲げ伸ばし運動をして頂きます。
  • 感染
    ~手術した部位の皮膚が赤くなったり、腫れたり、膿が出たりすることがあります。ひどい場合には、人工関節を抜去することもあります。感染には、術後早期におこるものと、比較的年月を経てからおこるものとがあります。退院後も、むし歯や水虫、深爪また足のけがなどに注意してください。
  • 人工関節のゆるみ、破損、摩耗、二次的な骨折
    ~痛みを生じたとき、また問題がなくても、定期的に受診を続けて下さい。
  • 術後せん妄、認知症
    ~最近の記憶の障害と失見当識、昼夜逆転などを一時的に認めたり、術前にあった認知症が増悪したりすることがあります。

※その他、予測できない出来事に対して、医療処置が必要になる場合があります。

手術後

  • 創部のドレーンと尿道の管が入って帰室します。(不要になったら速やかに抜去します)
  • 手術後の痛みに対して注射や座薬、点滴で鎮痛剤を投与しますが、明らかに軽減しない場合は、医療者(医師・薬剤師・看護師)に伝えて下さい。
  • 術後安静によって生じる問題(筋力低下、肺炎、深部静脈血栓症、高齢者の認知症など)の予防を目的として早期より、リハビリテーションを励行します。
  • 術後数日は膝を中心に腫脹や疼痛があり大変かと思われますが、可能な限り早期より膝の屈伸運動、大腿四頭筋を中心とした筋力トレーニングを積極的に行うことが最も重要となります。
    スタッフと相談しながら、リハビリを進めてください。
  • 術後2~3週で退院を目標としてください。(状態によっては転院を検討します)

※分からないことや不自由なことがある場合は、遠慮せずにスタッフに伝えて下さい。

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Q4 人工関節再置換術とは?

人工関節がすり減ったりゆるんだりすると、再度、新しい人工関節に入れかえる手術をします。
その際、人工関節をすべて取りかえる場合と、交換が必要なものだけを取りかえる場合があります。たとえば、インサートと呼ばれるプラスティックの部分のみを交換することもあります。
骨に直接固定されている金属を取りはずすときには、やむを得ず骨の一部も一緒に取りのぞかなければならない場合もあります。その際に失われた一部の骨をおぎなうために、患者さん自身の骨を移植することがあります。移植する骨は、最初の人工関節の手術の時に切り落とした骨を利用したり、また、体の別の部分から骨を取って移植することもあります。
再置換術後の経過については、患者さんや骨の状態によって異なりますが、一般的に、リハビリテーションなどは初回の手術のときと比べてゆっくり進められます。

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ご心配なときは、いつでも声をかけてください。

分からないことや不自由なことがある場合は、遠慮せずに、いつでもスタッフに伝えて下さい。

私達と一緒に、元気に治療していきましょう!